なっちゃん・夏夫さん
第1話
私の名付け親です。
お店では本名で出てるんだけど、この人思いこみが激しいのか
最初から私の名前を夏子と思ってる。
恵子ちゃんもそう。この人が付けた名前。
たまに他のお客さんが本名で呼ぶと「おまえ、夏子って名前じゃなかったっけ?」
「やーだ、夏子よ。」
この人の前ではずーっと、画面の前のあなたにとっても私はずーっと夏子です。
偉大なるゴッドファーザー
夏夫は一年に5〜6回しか来ない。
しかも、10日間位の間に集中してくる。
さらに、その間、トータルで、
10万円以上は使ってくれるありがたーいお客さんです。
年は、50歳代ってとこかな。笑うと優しい顔になるおじさんです。
夏夫ちゃんの口癖は、
「なっちゃん、(私のこと)オレと結婚しよう。
絶対に幸せにするから。なっ、いいだろう。」
4年前から言い続けているんだけどね。
夏夫ちゃんには、でっかい夢がある。
ある時には、
「オレは、弁護士になるんだ。10月になったら試験に合格するから、
そしたら、なっちゃん、(私のこと)おれんとこに、お嫁に来てくれるよな。」
「もちろんよ。10月が楽しみだわ。待ってるからね。」
と答える私。
また、ある時には、
「オレは、医者になるぞ。医者になったら結婚しような。」
次の年には、
「こんど、オレは会社を興す事にしたんだ。貯金だってあるぞ。
200万円あるんだ。」
「でっかいことをするぞ。社長になったら、お前のこと贅沢させてやるからな。
結婚しよう。なっちゃん。(しつこいようだが、私のこと)」
はいはい。おっしゃる通りに致します。だから、
「もう一杯飲んでも良い?」
「オレがいるときは、そんなこと聞くな。
金なんかいくらでも持っているんだから、どんどん飲め。」
「わーい。うれしい。夏夫ちゃん大好き。」
そして、今日も、がんがん飲む夏子であった。
とーぜんのことだが、アルコールはなし。
まともに飲んでたら、倒れちゃう。(飲み過ぎには注意)
もうちょっとつづけていい?(オレがいるときはそんなこと聞くな)