なっちゃん・夏夫さん

第2話

 にわとり?
 5分前のこと忘れるんだから・・・
 だから商売成り立つんだけどさ。
 結構純粋で遊びもうまいし、良いお客様です。
 結婚はしないけど。


偉大なるゴッドファーザー
メヴィウスの輪かクラインの壺か、はたまた夢の永久機関か

 

彼は歌が好き。ビールを注文する前に、

「とりあえず、王将でもかけとけ。」

こんな日は、最初から最後までずーっとカラオケがかかっている。

酔ってくると、自分がなにを歌ったのか忘れてしまうらしく、同じ曲を3〜4回かける。

例えば、王将・みちづれ・柔・などなど・・

この間は、今までで一番ひどかった。

「もう帰るよ。」

「じゃ、最後に一曲何か歌って。

「そうだなーじゃ、佐渡おけさでも歌うか。」

「はい。待ってました!」

なーにが待ってましただ。もう5回はこの歌聞いてるよ。

歌が終わり、「次、なに歌う?」

「そうだなー。じゃ、兄弟仁義でも歌ってみるか。」

「いよっ!待ってました。」

歌が終わり、「おれ、もう帰るわ。」

「ええーっ 帰っちゃうの?じゃ、最後に何か歌って

(ちなみにあまりのおかしさにママは立っていることができず、うずくまってしまいました。

 だって最初に帰るって言ってから4回目だモン)

このようにしてどんどん時間は過ぎていき、

最初に帰るって言ってから24曲歌ったのでした。

24曲の中の内、半分以上は、今まで歌っていたのと同じ歌なんだよ。

それが、一日おきくらいに10日間続くとどうなるか。

「なっちゃんの年で、どうしてそんな古い歌知ってるの?

と言われるようになるのです。

でも、私は、

「まあね。一応プロだから、流行った歌くらいは何でも歌えないとね。」

なーんて、はったりかますのだ。

同じ流行ったと言っても、新しい歌なんか、

ぜーんぜんわからないんだけどさ。

 

もうちょっとつづけていい?(オレがいるときはそんなこと聞くな)