たぬきレポート
たぬきちゃんがやめちゃったからこれが最終回。
さー、またお客さんの観察にせいを出すか(笑)。
6月18日
この日は、早い時間から「カモネギ」が来てくれた。
彼は、恵子ちゃんの大ファンで彼女に会いに来るのだ。
実は恵子ちゃんはすでにやめてしまったのだが
「カモネギ」が来たときだけ彼女を呼んでお金を使っていただくということになっている。
「カモネギ」は恵子ちゃんにいいところを見せるため気前よく私たちにもごちそうしてくれる。
「たぬき」が言った。
「夏子さん、もう一杯カモネギさんのところで飲んでもいいやろか?」
「そりゃ、カモネギさんがいいよ、って言ったらいいんじゃないですか?」
「あと一杯飲めたらちょうど5杯(飲んだこと)になるんよ。夏子さんが聞いてみて!」
「えっ?私が?」(なーんで私が聞かなくちゃいけないのよ。)
こんなの無視無視。
そうしたら、違うお客さんのところへ行って
「一杯だけ飲んでも良いですか?」と聞いていた。
だったら始めから私に聞くなっつーの。
6月20日
またまたバカとのが来た。(よくお金が続くなー)
でも、この頃になると彼も「たぬき」のことを
「だめだ、こりゃ。この女」といった目で見るようになったので
ゲットの可能性は大分薄くなってきたように思われる。
あるいはすでに・・・・?
この日も「たぬき」はハイピッチで飲んでいたので、ママが
「もう飲み過ぎているみたいだから後はウーロン茶にしなさい」と言ってるのに
「いいえ、うちはまだ飲めます。大丈夫だからもう一杯下さい。」
「たぬきさん。この一杯だってバカとのさんが払うんだから。
(勝手に飲みたいといってもバカとのさんがOKしないと飲めないのよ、常識!)
それに、体にも悪いでしょう。あなたはタバコも吸ってるし。」
「そうですか、じゃ、後一杯だけ。これを1時間かけてゆっくり飲みますから。
わかってないなー。それじゃ商売にならないよ。
ましてやママのいうことに逆らってばかりいたら、・・・・
キレちゃうよー!ママが。
6月22日
「たぬき」は相変わらず飲みまくっている。
そして、身の上話をしゃべりまくっている。
お客さんが「たぬき」にもう一杯飲んでいいよと言ったとき、ママがとうとう怒鳴りつけた。
「あ、後はウーロン茶にしなさいよ!」
「いいえ、私はお酒を頂きます。夏子さん!お酒ちょうだい!」
「夏子ちゃん!だめだよ。ウーロンにしてあげて!」
「ママ、私は飲みたいんです。大丈夫ですからお酒にして下さい。」
ぶちっ!!!(あ、キレた)
「ちよっと、たぬきさん!どうして私の言うことが聞けないの!
もう帰りなさい!
私の言うことが聞けない子なんていらないから!」
お客さんがいる前でこんなこと言うなんて、よっぽど頭に来たんだろうなー。
だって、店が始まる前やしまった後、毎日毎日
「自分ばかりしゃべらないでお客さんの話をよく聞くように。」
「お酒は飲み過ぎないように。酔っぱらうと仕事にならないでしょう。」
と言い聞かせてたんだから。
30年この商売やってて、こんな子は初めてだって。
「たぬき」は、この日限りでクビになりました。
めでたしめでたし。
10日間の短い間だったけどお世話になりました。
おかげでいいネタをたくさん仕入れることができました。