短編
世の中に蔓延するけち
オールドタイプは駆逐される?
ニュータイプ
このお客さんは今日で二度目。
大事にしなくっちゃねぇ。
ただでさえお客が減ってきてるんだから。
「この前、二人で来た時一緒にいた奴さぁ、
一人2千円以内で飲みたいとか、
『ここは高いから嫌だ』とか、うるさいやつなんだよ」
「へ〜?そんな風には見えなかったな。
でも、今時居酒屋だって2千円では飲めないですよね?」
「飲むときは、金のことを気にせず楽しむべきだと俺は思うんだよな」
そう、わかってるじゃん!この人。
お尻の毛(失礼!)まで抜かれるほど高いわけじゃなし、
お客さんが、楽しんだ分しかお金は取っていないわよ。
「けちけちしてたら楽しくないもんなぁ・・・」
いよっ!この遊び人!
粋だねぇ!
「ママ〜、なにかおいしいもの作ってくれる?」
ママが作ってきたものは「牛肉のバター焼き」
しかも卵焼きもついていた。
「おいしそうだな〜。
うん、夏子ちゃん、一緒に食べよう!」
「ありがとうございます」
やった〜!いいかんじ!
「でも、夏ちゃんちょっと太ってるから・・・
食べない方がいいかもね・・・」
(ん?)
「そうだ!卵焼きをあげよう。卵は体にいいんだよ!
それだけじゃ寂しいから、この牛肉を一切れだけあげよう!
食べてよ、さぁ、遠慮しないでさ」
おーい!
言ってることと、やってることが違うじゃん。
だったら一緒に食べようなんて言うなよー。
気前のいい振りをしていても本当はけちだったのね。
うーん。新しいタイプだな!