ブーさん
第12話
言葉に刺があるような・・・
あぁ!勘違い・・・
「欽ドン賞、決定!」
ついこの間も夏子のハートを射止めた
幻の彼氏について根ほり葉ほり聞かれたのよ。
私もだんだん演技に磨きが掛かってきたように思う。
(紅天女はもうすぐか?)
俺の友達で、スナックの女の子を好きになったやつがいるんだよ。
そいつがさぁ、早い時間に行ってじっくり話そうと思って店に入ると、
茶髪の先客がいたんだってさ。
いつものようにご馳走して、いよいよ口説きにかかったそうだ。
彼女が突然言うのには、
「私は結婚を前提につき合っている人がいます。
その人は彼です」
彼女がさした指の先には、あの茶髪のお兄ちゃんがいたんだってよ。
俺、そいつからくどくどと、グチを聞かされたんだけどよー。
こう言ってなぐさめたんだ。
「いいじゃんか。
早い内に言ってもらって。
俺なんかさ、 花を送り、ラブレターを書いて、
心を込めて歌まで歌って、
それでもふられたんだぜ。
しかも口説いてた時は、そのお姉ちゃん、彼氏がいなかったのによ。
俺があきらめたとたん男ができていやがんだよ。
全く、お金と時間のムダだったよな〜」
それって・・・
???わ、私の事ね!
(まだ恨んでいたの?)
なんか、申し訳ないことをしたみたい。
でも、お金と時間のムダって言い方は
ないんじゃない?